旭日旗は電子世界に揚がる   (ネーミングセンスがないのは自覚してます


【本編第三話】


『全艦、各個で敵駆逐艦に対応て下さいまし』
『急速回避します!!主砲照準間に合いますか!?』
『クロ!!撃てる武器はある!?』
『うおりゃぁぁぁぁーーーー!!逃がすかあああーーーーーーーーーーーー』
『間に合う訳有るか!!SSMもギリギリだ!』
『127mm単装速射砲じゃ本隊が被害を受ける前に全部堕とすのはちょっと無理かな・・・』
『第三、第四砲塔だけなら間に合わなくも無いですね。第三砲塔を3時方向、第四砲塔を9時方向へ・・・』
『そんならフォトン粒子砲で片付けたる!!』
『現在、全兵装使用不可です、エレ様!』
『味方に当たる。やめろ』
 いきなり会話だけで始めてしまいました。
上から順に霧香、なぎさ、エレ、スカーレットファング、ネコ、シアンファング、なぎさ、スカーレット、クロ、シアンです。
実際、書き手も訳が解らんのです
 艦隊はと言うと極度の混乱状態であり、接触事故を起こしていないのが不思議なぐらいである。

 その混乱の中でも何とか【高雄】、【蚊取】の主砲が駆逐艦を狙い、発砲。
8in、10in砲弾が数隻の駆逐艦の艦橋、艦首に命中する。

 だが、彼女達は前進を止めない。
ただ、ひたすらに・・・・・・
ただ、我武者羅に・・・・・・
加速、加速、加速
機関を過圧し、前進
 目標はすでに主砲の射程内。スコープの中心に捕らえ、発砲

 被弾した【高雄】の艦体が揺れたが、致命的な損傷はなさそうである。
そのまま黒煙を棚引かせ、勇ましく・・・・・・美しく、戦闘を続ける。





 【アイギス・スレイヤー】に守られている【ファージ・スレイヤー】艦内
【ファージ・スレイヤー】のプライドはボロボロである。
「そろそろ、かしら?」
 妙に艶かしい表情でエスラが呟く。
「何がそろそろなんですかぁ〜」
 問うはやはりシロであった。
「ここまでプライドを傷つければ、その分怒ってスペックが上がったりとか・・・・・・」
「何だその某地球連邦戦艦みたいなのは・・・」
 エスラの返答にゲイムがツッコミを入れた。
「ともかく。【ファージ・スレイヤー】前進、攻撃開始」
 【ファージ・スレイヤー】は気合いと根性で応急修理の時間を短縮し、攻撃力さらには速力も上がっていた。





「【青いフォウルもどき(ファージ・スレイヤー)が動き出したぞ!」
 【フォウル・スレイヤー】艦内でヴィーが叫ぶ。
「え!今あのフネに出てこられたら・・・・・・」

 UNKNOWN駆逐艦は数と速度を持って比較的前にいた【P4砂漠空母】と【高雄】、【八島】 更に【蚊取】を囲み雷撃
「三時、七時、十時より水中雑音多数!魚雷接近!!回避不能、迎撃します」
 【八島】は舵と速度を保ったままファランクスを動かし、魚雷を堕とし始めた。
「魚雷ですか、小賢しい・・・・・・。25mm機銃及び13mm機銃起動、迎撃ですわ」
 【高雄】が回避運動を取りつつ迎撃を始めた。激しい銃声が伴うにも拘らず何処か優雅に見える
「え?魚雷!?迎撃って出来たっけ?」
「砂漠で航空機を相手にする為のフネだからな。出来んな。登載してる戦車の機銃でやってみるか」
 半パニックのリュージュと矢鱈と落ち着いたチャージュ。
格納庫から数台の戦車を出し強引ながらそれに迎撃をさせる【P4砂漠空母】
「迎撃じゃー」
 慌てず騒がず57mmバルカン砲や40o機銃で叩き落す【蚊取】

 二隻の巡洋艦と各一隻の戦艦及び空母が駆逐艦に囲まれた頃
修理が遅々として進んでいなかった【フォウル・スレイヤー】の横に何時の間にか一隻のフネが横付けしていた。
少々古い艦体の甲板に数基のクレーン。工作艦【明石】、その艦長のクーリが艦内錬金場で術式を進めていた
 目的は【フォウル・スレイヤー】の修復補助。実際、【明石】が加わってから作業速度は上がっている。

 駆逐艦に振り切られそうになった【オルトロス】はその姿を四足機動兵器へと変えていた。
 最大速度の200km/hで敵に迫る。

 駆逐艦の脅威と共に空の脅威も相手にしなくてはならない【蚊取】
回避行動をしつつも時折対空ミサイルが撃ち出される。
 そして当然のようにそのミサイルが敵機に当たり、被弾した爆撃機は堕ちる。しかし問題は堕ちる先であった。
その機体は4基のエンジンの内、2基と片翼を破壊された状態で最後の攻撃を掛けようとしていた。
動かせる全ての操縦系統を駆使し、機首をその身体を傷つけた物へと向ける。
「わー!!突っ込んでくるー!」
「「対空ミサイル」・・・・・・は距離が近すぎて使えんか」
 それでも有りっ丈の対空兵装で迎え撃つ【蚊取】。
だが敵は堕ちない。正面を【蚊取】に向ける事で被弾面積が小さくなっている為か・・・・・・
「機関全速、取り舵回避ー!」
 トリスの声と共に【蚊取】が舵を切り敵機の針路から離れようとする。

 結局、艦艇としては高速の分類に入る37.5ktの速力は航空機を相手にするには遅すぎた。
艦首に激突した爆撃機の残弾が暴発、気化した燃料に引火、誘爆。
 艦首側甲板に設置されていた兵装は尽く破壊され、此処でも砲弾等への誘爆が発生し【蚊取】の艦首が脱落した。
「ばーろー!こうなりゃ道連れだ!付近の敵艦に魚雷の照準付けて撃ちまくれ!」」

「全砲、装填完了。目標、3時方向的駆逐艦。距離4000」
 【八島】の主砲が同一方向を睨む。距離が近い為か砲身はほぼ水平。
「照準完了。何時でも行けるぞ」
 揺れる艦橋の中、ネコの報告。的確端的
「斉射用意・・・・・・ってーー!!」
 まともに聞いたら難聴に成る事必須な砲声がなぎさの声に続いた。

 8発の43.2cm対艦徹甲弾は【蚊取】が魚雷を撃ち込んだ駆逐艦の反対側に突き刺さり、運動エネルギーを消費しつつも貫通。
3発が駆逐艦を挟んで射線上に居た艦の側舷に命中並びに信管作動。・・・・・・【蚊取】が轟沈した。
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
微妙な空気が漂う【八島】艦橋
「仕方無いじゃないですか!駆逐艦を撃ったら砲弾が貫通するなんて言うデータなんて無いんですから」
 苦笑の表情で誰かに反論するなぎさ。実戦経験の無い【八島】となぎさの組み合わせなら有り得る話では有るが・・・・・・

 超高速の【オルトロス】のスカーレット機、シアン機の動きもあり、全ての敵駆逐艦片付けた頃に少々遅れて
再起動した【フォウル・スレイヤー】。
 付近には復旧支援をしていた【明石】の他に双胴船体と言う特徴を持った葵 詩南の乗艦、観測艦【あかし】、そしてリーフィ
エンドが駆る巨大ゾイドの【セイスモサウルス】が止まっている

 旗艦【高雄】が駆逐艦を相手にした戦闘で乱れた艦隊を再編成中。
通信が引切り無しに飛び交う。
『【明石】と【あかし】は後方支援をお願いしますわ。』
『頑張るよ』
『解りました』
 二隻の少々特殊な艦が、独自の戦闘態勢に移行する。
『【セイスモサウルス】はその護衛を、シンフィエンドの【ブラストルタイガー】 は【オルトロス】と共に高速接近戦で撹乱を』
『了解』
 何時の間にかもう一隻増えている・・・・・・、フネと言うよりはゾイドではあるが。
そしてそのゾイドは【オルトロス】を上回る速度でUNKNWON艦隊に接近、【オルトロス】と合流した。

 【フォウル・スレイヤー】と【P4砂漠空母】を火力の2トップとし、補助として二隻が入る本隊
 【オルトロス】スカーレット機、シアン機に【ブラストルタイガー】を加えた三機で構成され、敵の攻撃を逸らす為の撹乱隊
 後方で特殊支援を担当する【明石】と【あかし】。そして護衛の【セイスモサウルス】の支援隊
以上の三隊に別れ、UNKNWON艦隊を迎え撃つN.G.艦隊。

 撹乱隊が【青いフォウルもどき(ファージ・スレイヤー)】と【黒いフォウルもどき(アイギス・スレイヤー)】を掠め、
速度の圧倒的優位を利用したヒット&アウェイ戦を繰り広げる。
 本隊は真正面から敵艦隊と対峙し、撹乱隊が離れた隙に持てる火力を注ぎ込み
 支援隊は友軍が有利な状況へと、その特殊能力を用いて運ぶ。

 この戦闘で事はN.G.側優勢で進むはずだった。
しかし、どのような攻撃を受けても平然としている【黒いフォウルもどき(アイギス・スレイヤー)】は元より、何故か兵装の攻撃力も
艦の機動性も、バリアの防御力すらも上がっている【青いフォウルもどき(ファージ・スレイヤー)】は前進を止めない。
 そして、発砲。
【フォウル・スレイヤー】と同型なだけ有って火力は充分であり、しかもそれが二隻。
空母や巡洋艦には少々辛い相手であった。
 一応は戦艦である【八島】が盾になるべく前へ出る。
「支援隊が行動にでるまでの時間稼ぎぐらいしますよ。青いほうに照準を付けてください。」
 【八島】の側舷をUNKNWON艦隊に晒す様に操艦したなぎさから指示が飛ぶ
「あいよ。風向、風力、角度、その他諸々計算済みだ。誤差修正の係数は出した。目標座標を入れれば照準は完璧」
 ネコが返答すると共に、4基の砲塔が回り、8本の砲身が上下する。
 爆音と衝撃、8発の対艦徹甲弾は、その全てが【青いフォウルもどき(ファージ・スレイヤー)】に着弾するはずだった。
「で、何が完璧なんです?」
 砲弾はその全てが【青いフォウルもどき(ファージ・スレイヤー)】と【黒いフォウルもどき(アイギス・スレイヤー)】の間を素通りした。
「マテ!!何か見落としていた要素があるはずだ!この弾道の逸れ方は異常だ!」
 そう、砲弾の軌道は上から見ているというのに、まるで斜方投射を横から見るような軌跡を描いたのである。
・・・・・・まるで、「重力」に引かれた様に。
「それだ!ナレーションさん、有難な!!」
「ナレーション=作者じゃないですか・・・・・・」
 世界観が微妙になりつつも対処法を検討し始める一人と一匹。

 一方、UNKNOWN側は。
「この距離で外すなんてへたっぴですね〜」
 戦場に余り相応しいとはいえない緊張感の無い表情でシロが言う。
「アイギスの相違反転システムの影響か?あれは結局ブラックホールだしな。」
 ゲイムの真面目な返答、そしてエスラが喋り始める。微妙に苛立っているようだ
「どうだって良いけど周りをうろちょろしてる三機、如何にかしなさい!!」
 ちょうど撹乱隊が【ファージ・スレイヤー】を強襲、離脱して行くところだった。